立体視ムービー(その3)

先ずはカメラ間隔。
シーンに右目用と左目用の2台のカメラを置き、カメラの間隔は人間の両目の間隔に等しい60mm前後とし、各カメラで静止画をレンダリング
前出のStereoPhotoMakerMPOに変換してスマホに送る。
「おお!立体じゃあ!リッタイに見えるぅ〜」

MPOファイル→Fig03.mpo 直


気を良くしつつ今度は小物で試してみる。
「あ、あれ〜、立体視できないこともないけれど・・・」
手前に注視すると奥がダブるし、奥に注視すると手前がダブる。

MPOファイル→Fig04.mpo 直


どうも視差が大きすぎるようだ。少しずつカメラ間隔を減らしながら確認を繰り返し、結局のところ10mm前後に落ち着いた。
これはいったいどう言うことか?

MPOファイル→Fig05.mpo 直


以下は推測である。
現実世界で作例のように鉛筆と消しゴムを視界いっぱいに捉えようとすると、かなり近づかなくてはならない。
この接近した状況で仮に鉛筆の先端に注視した場合と鉛筆の末尾に注視した場合とでは両目線の挟角は大きく異なってくる。
目の角度で言えば末尾は"寄り目ぎみ"で、先端は"ものすごい寄り目"で見ることになる。(この目の寄りぐあい、つまりカメラの角度を輻輳角またはコンバージェンスと言う)
ここに無理があるように思える。
奥行きのある被写体の接写を1つのイメージに押し込めることは、平面視でこそ可能だが立体視では困難なのだ。
カメラ間隔を1/6にすることで安定したのは、つまり小人になって接写の状況を回避したようなもので、
注視点の違いによる輻輳角の違いを許容の範囲に収めたことになるのではないだろうか。

そんなわけでカメラ間隔は60mm前後が基本だが、これは固定値ではなく場合によっては60mm〜10mmまで可変と考えた方が良さそうだ。
ちなみに10mm以下にすると、立体感が殆ど感じられなくなってしまった。
(続く・・・)